君はいくつ知っているか・京王と帝都の歴史とトリビア100+
Amazon.co.jp


ハイキングの歴史【改訂版】: 登山、行軍、そして探勝
Amazon.co.jp


京王帝国の興亡: 激動の多摩丘陵百年史
Amazon.co.jp


プールの歴史: 井の頭の天然池ブール・多摩川遊泳場・そして金子の婦人専用プール
Amazon.co.jp


多摩・八王子・拡張武蔵野(エクステンシノ): 国木田独歩没後111周年企画
Amazon.co.jp


カルピス飲んで朝ご飯・昭和10年8月井の頭公園のカルピス朝飯会
Amazon.co.jp


謎に包まれた琵琶滝駅・高尾山ケーブルカーの中間駅は本当にあったのか?
Amazon.co.jp


高尾山駅ミステリー・謎に包まれたもう1つの【高尾駅】は実在したか?
Amazon.co.jp


野球は巨人・キャラメルは紅梅・謎は杉並大工場の所在地
Amazon.co.jp


玉電ミステリー・瀬田停留所が2つある!?
Amazon.co.jp


歴史ノンフィクション・最も短い分水のミステリー 玉川上水下高井戸分水 (PDミニブックシリーズ)
Amazon.co.jp


河川・水路跡の探し方 ~徒歩圏内で探し出すあなたの街の歴史の神秘~
Amazon.co.jp

2008年10月28日
川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記total 7878 count

池袋駅前に実在した環境最高or最悪の高校は、神田川支流の弦巻川の水源地だった

Written By: 川俣 晶連絡先

 この期に及んで、水路がらみでショックを受けることなどないと思っていました。もちろん、神田川沿いにある新江戸川公園のような施設の存在を見落としていたことに気付くことは、この文脈での「ショック」のうちには入りません。単に見落としに気付いただけです。

 しかし、真のショックはあったのです。

 高校時代の2年間、下高井戸とは無縁の場所まで延々と来たものだと思いながら2年間通った高校の敷地が、何と神田川支流の弦巻川の水源地だったとは。つまり、下高井戸とは無縁の場所どころではなく、神田川という水路で結びついた場所だったのです。しかも、ジメジメした土地だと思っていたら、そこはまさに水源地となる「丸池」の跡地だったとは。

丸池とは §

 『神田川「まる歩き」しちゃいます!!』さんの以下の記事で紹介されています。

 丸池とは以下のような場所を示します。(上記最初の記事より引用)

「江戸名所図会」のいう弦巻川の水源、池谷(池谷戸 いけやと)は旧雑司ヶ谷村の字名で、現在の池袋駅南の通称、びっくりガードから、メトロポリタンホテル、東京芸術劇場の先まで切れ込む谷筋の一帯です。

(中略)

池谷にはその名の通り大きな池があり、形状から丸池と呼ばれていました。その丸池から、弦巻川は流れ出していたのです。

 丸池とは具体的に以下のように記述されています。(上記3番目の記事より引用)

 「丸池と称す、古は大池なりしよし、明治5年の調べには『無名池広さ六百坪』と記さる、今は埋れて僅に十数坪許なるべし、此池より細流を出す、弦巻川これなり」(「北豊島郡誌」 大正7年 1918年) この時代、成蹊実務学校(現成蹊学園)のキャンパス内にあり、成蹊池と呼ばれたようです。その成蹊実務学校も大正末には吉祥寺に移転し、「今は鉄道教習所の構内となり、石囲ひの水溜となって居るが、大正時代の初期までは付近の子供たちが水泳して居た」(高田町史」 昭和8年 1933年)

 さて、ここに書かれた「鉄道教習所」は戦後しばらくして「芝浦工業大学高等学校」となります。私はこの高校の卒業生です。

芝浦工業大学高等学校とは §

 よく「工業高校」と誤解されますが、全日制の普通科しか存在しない高校でした。ただ、普通の高校ではありません。卒業生の過半数が芝浦工大へ推薦入学で進学することを前提にして、「大学進学後、数学で落ちこぼれない生徒を育成する」という趣旨で、数学の授業に特に力を入れたカリキュラムでした。何しろ、高校2年の時には、週に8時間も数学の授業があったほどです。毎日数学の授業があるのは当然として、1日2時間数学の授業のある日もありました。これは、裏を返せば数学で落ちこぼれてしまう学生が大学サイドで深刻な問題であったからでしょう。ただし、私自身は芝浦工大へは進学していません。

 さて、この高校の所在地は池袋駅の間近です。駅地下道への最も近い入り口から30秒程度であり、雨が降っても傘をささずに走って飛び込める距離でした。学校の正面は道路を挟んですぐに線路であり、最も近いのは東武の線路でした。裏口から出ると養老の滝があり、すぐ裏手にソープランドもありました。まさに、驚くべきロケーションです。

 しかし、まだまだ凄い話はあります。

 校舎は木造2階建て。小学校、中学校と鉄筋コンクリートの校舎しか体験していないというのに、高校に来たらあまりに古めかしい木造校舎です。

 更に校庭の狭さも特筆もので、出入り口として突出した部分を含めて、やっと50メートルの直線トラックを引くのが精一杯。しかも、ジメジメしてスカッとしない土地でした。

 それにも関わらず、実際に通った感触は全く悪くありませんでした。建物は暖かみがあるし、利便性は最高。特に、本屋の充実ぶりは感涙ものです。駅地下道には朝でもやっている本屋があり、学校に通うついでに雑誌や文庫本を買えました。放課後には、すぐ近くに専門性の高い芳林堂書店もあれば、地下道を渡った先には巨艦店という他ない西武デパートの書籍売り場もありました。更に通学経路上の新宿には三省堂や紀伊国屋があったことを加えれば、生涯最高の書店環境を甘受していたと言っても過言ではありません。というか、そもそも新宿を利用しなければならない必然性が薄いほど、池袋の書店環境は充実していたと思います。

 しかし、このような「ある種のパラダイス」が永続するはずもなく、この環境は2年で終わりを告げます。芝浦工大高校は板橋(都営三田線志村三丁目駅が最寄り駅)に移転して中高一貫教育の芝浦工業大学中学高等学校へと変貌します。この時点での学校周辺はまだ町工場も多く、授業中に異臭が漂ってくることも珍しくありませんでした。池袋時代のような、優れた書店環境も存在しません。(現在ではすっかり住宅地になってしまったようです)

 ちなみに、この板橋の新校舎も野心的な設計で、校庭と隣の公立中学校の校庭を連続で使うと巨大なトラックが使用できる構造になっていました。そのために、あえて私立中学高校と、公立中学の敷地を隣接させて設置したようです。しかし、実際にそのようにして使った事例があるかどうかは知りません。もう1つ余談を付けると、実は板橋の新校舎は敷地の地下に川があり、そのためその上をまたぐ2階の渡り廊下には屋根を付けることができなかった、という話を聞いた記憶があります。つまり「暗渠のある学校」に1年間通ったことになり、そういう意味でも「見えない水」に縁があるかもしれません。

それにしても…… §

 下高井戸から池袋に通う、というのは正直、かなり遠くまで行くという実感を持っていました。それが可能だったのは鉄道の利便性の高さゆえです。たとえば、練馬区の高校に通うとなった場合(それは都立高校の学区域の関係で実際にあり得た可能性なのだ)、それがあまりに非現実的に思えるのは、それを効率よく実行する鉄道が存在しないからです。

 実際、池袋は全く無縁で新鮮な土地でした。副都心と言えば新宿と渋谷しか知らなかったので、池袋は本当に遠い場所に感じられました。

 ……それなのに、まさか、あの高校の敷地が神田川支流の弦巻川の水源地であり、まさに下高井戸と水でつながっていたとは!!

 あのジメジメした校庭は、まさに水に縁のある土地であることを示していたとは!

 これは大ショックです。

余談 §

 ジメジメした校庭といえば、もう1つの我が母校、向陽中学校も負けてはいません。何せ、神田川沿いの湿った低地に建設された中学ですから、水はけの悪さは天下一品。どれだけ運動部が困っていたか。

 そして、どちらのジメジメも、同じ神田川の水に関連していたとは!

Facebook

下高井戸周辺史雑記

キーワード【 川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記
【下高井戸周辺史雑記】の次のコンテンツ
2008年
11月
01日
昭和13年の京王バス路線図に記載された「下高井戸バス停」は「下高井戸駅」とは別の場所か!?
3days 0 count
total 4933 count
【下高井戸周辺史雑記】の前のコンテンツ
2008年
10月
21日
明大前の富士見橋は富士山の方を向いているか?
3days 0 count
total 2477 count

このサイト内の関連コンテンツ リスト

2009年
06月
13日
かつての通学路・都営三田線志村三丁目駅の真後ろは水路跡だった!!
3days 0 count
total 2814 count


君はいくつ知っているか・京王と帝都の歴史とトリビア100+
Amazon.co.jp


ハイキングの歴史【改訂版】: 登山、行軍、そして探勝
Amazon.co.jp


京王帝国の興亡: 激動の多摩丘陵百年史
Amazon.co.jp


プールの歴史: 井の頭の天然池ブール・多摩川遊泳場・そして金子の婦人専用プール
Amazon.co.jp


多摩・八王子・拡張武蔵野(エクステンシノ): 国木田独歩没後111周年企画
Amazon.co.jp


カルピス飲んで朝ご飯・昭和10年8月井の頭公園のカルピス朝飯会
Amazon.co.jp


謎に包まれた琵琶滝駅・高尾山ケーブルカーの中間駅は本当にあったのか?
Amazon.co.jp


高尾山駅ミステリー・謎に包まれたもう1つの【高尾駅】は実在したか?
Amazon.co.jp


野球は巨人・キャラメルは紅梅・謎は杉並大工場の所在地
Amazon.co.jp


玉電ミステリー・瀬田停留所が2つある!?
Amazon.co.jp


歴史ノンフィクション・最も短い分水のミステリー 玉川上水下高井戸分水 (PDミニブックシリーズ)
Amazon.co.jp


河川・水路跡の探し方 ~徒歩圏内で探し出すあなたの街の歴史の神秘~
Amazon.co.jp

このコンテンツを書いた川俣 晶へメッセージを送る

[メッセージ送信フォームを利用する]

メッセージ送信フォームを利用することで、川俣 晶に対してメッセージを送ることができます。

この機能は、100%確実に川俣 晶へメッセージを伝達するものではなく、また、確実に川俣 晶よりの返事を得られるものではないことにご注意ください。

このコンテンツへトラックバックするためのURL

http://mag.autumn.org/tb.aspx/20081028121014
サイトの表紙【下高井戸周辺史雑記】の表紙【下高井戸周辺史雑記】のコンテンツ全リスト 【下高井戸周辺史雑記】の入手全リスト 【下高井戸周辺史雑記】のRSS1.0形式の情報このサイトの全キーワードリスト 印刷用ページ

管理者: 川俣 晶連絡先

Powered by MagSite2 Version 0.36 (Alpha-Test) Copyright (c) 2004-2021 Pie Dey.Co.,Ltd.