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2008年10月29日
川俣晶の縁側電車好き日々の世田谷線total 8429 count

パッと見ても見つからない・隠された謎としての世田谷線・六所神社前駅ホーム遺構

Written By: 川俣 晶連絡先

 私の現在の歴史趣味は、かなり狭い範囲に根ざした一種の「郷土史」であり、特に「徒歩圏内」に力点が置かれています。

 そのような趣味が可能だと気付かせてくれたのが1999年8月16日の世田谷線・七軒町駅跡地の訪問です。このときの写真を掲載したページがオータム写真館・七軒町駅跡地です。

 ここには過去の自分が以下のように書いています。

廃線跡だとか、消えた駅だとか、そういうのは、どこか遠くに旅行して見てくるものだと思ったんですが、「玉電が走った街 今昔」(JTBキャンパスブック)という本を読んでびっくり。身近にも、そんな場所があったんですね。しかも、何度となく歩いている場所に。

 つまり、徒歩圏内の良く知っている場所に、廃駅が存在し、明確に跡地を確認できたことへの驚きがありました。

 しかし、このときに1つの大きな見落としをしたことに、ずっと気付いていませんでした。

六所神社前駅の痕跡は残っていない? §

 七軒町駅は以下のような経緯で消滅しています。

WikiPediaの松原駅 (東京都)より

1949年9月1日 山下寄りにあった六所神社前駅を移設する形で、玉電松原駅として設置(実態は、下高井戸寄りにあった七軒町駅との統合)。

 従って、七軒町駅と同時に六所神社前駅も消滅しています。

 では、七軒町駅の跡地が「工事車両駐車場」として残っているのと同じように、六所神社前駅の跡地も残っているでしょうか?

 これはノーです。世田谷線の窓からいくら見ていても、あるいは沿線を何回歩いても、同じような不自然な空き地は見あたりません。空き地だけでなく、不自然な遺構も見あたりません。

 だから、六所神社前駅の痕跡はもはや残っていない……と思いこんでいました。

 しかし、これが「罠」だったのです。

草木の下に遺構は眠る §

 実はたまたま"六所神社前駅"で検索する機会があり、その時に松原駅付近の主な名所・旧跡というページで、『六所神社付近の線路沿いには、昭和29年に廃止された六所神社前駅上りホームのコンクリート土台が現在も残されています』という写真を見てしまったのです。

 思わず、「こんな土台、見たこと無いぞ!」と愕然としました。

 そして、現地に出向いて納得しました。

 これが土台のある場所の写真です。

六所神社前駅跡地全景

 つまり土台は、草木の下に隠され、ほとんど見えなくなっていたのです。このあたりまで、うろうろ歩いて出るようになったのはごく最近ですが、冬場は暗くなってから歩く機会が多くよく見えません。かといって、夏場の明るい時間帯に見に行っても草が邪魔をして見えないという仕掛けです。

 近づいて葉の隙間を調べると確かに土台の遺構が見えます。

六所神社前駅遺構

Google Mapsで見る §

 Google Mapsの航空写真では遺構の形が見えます。

他にもあるトピック §

 現在、道路が線路をまたいでいるのは、駅ホーム跡地北西側です。しかし、世田谷区発行の昭和4年の地図等を見ると、六所神社前から西進した道路は、現在のように線路に沿って北西に向きを変えず、南西方向に向きを変えて線路を渡っています。つまり、六所神社前駅が現役の時代は、周囲の道路の付き方そのものが全く違っていたようです。それを踏まえて考えると、昔は今とはまるで違う光景が広がっていた可能性も考えられます。

間抜けの証明 §

 実は問題の「玉電が走った街 今昔」をチェックしてみると、しっかり六所神社前駅のホーム土台の鮮明な写真が紹介されていました。まさに己の間抜けの証明そのものです (笑)。

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