「なんだ、この話はまだ続くのか」
「そうだ」
「先に聞こう、結論は何だ?」
「勝者はやはりFacebookかもしれない」
「は?」
スマートフォンブームの死角 §
「Microsoft Developer Forum 2011というイベントがあって、ストリーミングで見ていたのだが」
「うん」
「横にTwitterのリストも出てリアクションが分かる」
「そうか」
「結局、そこからWindows Phone 7に関して感じたことは2つ」
「それはなんだい?」
- ほとんどアンチがいない。参加者側から好意的な歓迎が圧倒的に多い
- Facebookと緊密に連携している
「それってどういうことだい?」
「つまりだな、以下の2つのアイデアが浮上するわけだ」
- iPhoneもAndroidもメーカーとキャリア側とハード寄りのソフト開発者から支持されているだけで、実はソフトだけで勝負するソフト開発者から支持されていない
- 次の時代の勝者は、実はiPhoneでもAndroidでもWindows Phone 7でもなく、Facebookである
「なにそれ?」
「つまり、スマートフォン戦争には基本的に勝者は存在しない。ハードの都合を優先しすぎたAndroidは、ハードを提供する側からの支持は手厚いがソフト開発者からは支持されていないので、頭打ちになる。強いて言うなら、Facebookとの緊密な連携を推し進めたWindows Phone 7に成功の可能性があるが、それはFacebookが圧倒的勝者であるという事実によるもので、スマートフォン戦争そのものに勝ったわけではない」
「ホントかよ」
「それは分からない。ただの印象だ」
傍証の問題 §
「しかし、傍証は多い」
「えっ?」
「様々な印象が、これで統合された感じだ」
「どんな印象?」
「以下に列挙するぞ」
- ただの町の本屋でしかない桜上水の啓文堂で、目立つ場所にFacebook特設コーナーができていた
- Windows Phone 7に関する某イベントの若干名の募集が一瞬で埋まった。衝撃的なスピード
- Androidを提供するGoogleの評判は落ちる一方。無駄に機能を増やすぎるが、バグが減るわけではなくむしろ増えている。支持も低下している感じ
- Androidはソフト開発者不足に悩むという噂を聞いた (嘘か本当かは知らない)
「本当にそんなことがあるの?」
「そうだ」
「Facebookの特設コーナー?」
「外からよく見える場所に本棚1つまるまるFacebook本のコーナーができていたが、スマートフォンに関して同じようなコーナーはできていない」
考察 §
「この結論は何を意味しているのだろう?」
「誰がお山の大将であるか、という問題へのスタンスの違いだ」
「というと?」
- iPhone Appleが全てを支配する
- Android 自由を標榜するが本音はGoogleが支配したい
- Windows Phone 7 MSが全てを支配しないで一部はFacebookに明け渡してしまった
「『自由を標榜するが本音は支配したい』ってのが意味分かりにくいよ」
「実は昔のAppleも同じなんだ。IBMの支配を打破すると標榜してMacintoshを送り出したにも関わらず、金持ちしか買えない高価な代物で、結局支配を打破するどころか、特権階級のステータスになってしまった。今や支持者は信者ばかりだ」
「つまり、自由を標榜しつつ本当は支配を目指したって事だね」
「そうだ。支配イコール信者化だ」
「Androidも同じってこと?」
「だろうな。日本のハード開発者のセンスはとても悪いから、上手く丸め込まれたんだろう」
「なんで日本のハード開発者のセンスは悪いの?」
「田舎にばかり工場を作るから、センスが田舎臭くなるんだ」
「きついなあ」
「結局、プライドが無駄に高すぎるんだ」
「ひぇ~」
「プライドを上手に捨てたMSの方がより現実的だ」
「そうなるのか」
「結論を言おうか?」
「うん」
「コンピュータ、ソフトなければただの箱。ソフト開発者を敵にまわして勝者になるのは難しい、ということだ」
「なら、ソフト開発者を味方にすれば勝てるわけ?」
「そうとも言えない。やはりハードがないとプログラムは実行できないからだ」
「分かった。ならば勝者はサービスであるFacebookということだね」
「そうだ。もうスマートフォン戦争に意味は無い。おそらく勝者はない」
「Windows Phone 7が勝者になるという予測はしないが、Androidも勝者になれないわけだね」
「さあな。未来は何も分からんぞ」
「何も保証しないわけだね」
「当たり前田のマジすかだ」
オマケ §
「君の個人的な対応はどうなるんだ? いずれかのハードを買う必要があるのだろう?」
「答えは決まっている。Windows Phone 7を買うことになるだろう。おそらくな」
「でも、Facebook連携が強化されても、Facebook使ってない君はあまり嬉しくないだろう?」
「そこは逆だ」
「えっ?」
「これを機会に、Facebookを本格的に使ってもいいと思うよ」
「どうして?」
「善し悪しじゃない。デファクトのプラットフォームに乗るのがポリシーだからだ」
「なぜデファクトのプラットフォームに乗るの?」
「それがコミュニケーションの可能性を最大化する方策だからだ」
「それは正義に優先するの?」
「する。大切なのは生きている人であって、言葉の上の薄っぺらい正義ではないからだ」