2014年09月01日
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ヤマト2199の謎とアニメクライシス21Cの勃発

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

ヤマト2199の謎 §

 2013年の宇宙戦艦ヤマト2199は、ヒット作と言って良いだろう。

 しかし、この作品にはいろいろと謎がある。

 最大の謎は、【それほどアニメ本編で活躍していない女性キャラのグッズばかりが発売され、アニメ本編で活躍している男性キャラは捨て置かれることが多い】ということだ。もちろん、男性ファンは男性キャラのグッズなど買うまい……という予測は外れた。もともと宇宙戦艦ヤマトというタイトルは膨大な女性ファン層を持っているからだ。

 他にもある。

 たとえば、ヤマト2199第13話の絵コンテを描いた樋口真嗣監督は、実写のローレライというそれは見事な潜水艦映画を監督している人だが、この第13話に登場する潜水艦(潜宙艦と呼ばれる)は、それと比較してかなり見劣りする。なぜだろうか。

 実は以下の認識をも持ち込むことで、簡単に解釈できることに気づいた。

  • 志を上げることは、アニメ作品の質の向上を意味する
  • しかしながら、志を上げすぎると周囲が付いてこられなくなり、むしろ作品は荒れる
  • 受容可能な水準はジャンルごとに変化する

 つまり、ヤマト2199は志を上げすぎていて、あちこちに【アニメ界】のスタッフが追従できない【きしみ】を生じていると考えられるのだ。

 要するにこういうことだ。

  • 男性向け女性向けというセグメント分けが明確化したアニメ業界では、一度【男性向け】にカテゴライズされてしまった【宇宙戦艦ヤマト2199】という商品を女性向けに展開することは前提の外側にある。どれほど多数派の女性ファンから批判されても実行できない。実行する方法論そのものを持っていない
  • アニメの壁は実写には存在しない。だから実写の文化を持ち込むとアニメ側は拒否反応が発生してしまう。その結果、当たり前の描写が当たり前に描けない問題が発生する

 つまりそれはどういうことか?

 宇宙戦艦ヤマト2199という作品は、アニメで前進できる限界の壁に突き当たってしまったのだ。

 しかし、限界に突き当たったのは宇宙戦艦ヤマト2199だけだろうか。

 どうもそうではないようだ。

青の6号問題 §

 20世紀末から21世紀に掛けて、潜水艦アニメが数本制作された。

  • 青の6号 (1998)
  • サブマリン707R (2003)
  • スーパー99 (2003)

 これらを比較するとあることが分かる。

 最初に作られた青の6号だけ完成度が特に高いのだ。

 スーパー99は古すぎる原作に忠実すぎ、さすがに2003年のアニメとしてどうかと思う内容であった。サブマリン707Rは良く出来ているのだが、女の子の描写などが良くなく、ラストの潜水艦戦が見事なのに惜しい部分が残る。

 それと比較して、青の6号は最初から最後まで筋が通っていて、映像も完成されている。

 なぜだろうか。

 実は青の6号だけフルデジタルアニメなのだ。厳密な意味でのアニメではない。

 つまり、青の6号に対抗する企画であったはずなのに、アニメでは青の6号の水準に並ぶところにすら行けない……という状況が見て取れる。

 何故その差があるのだろうか。

 アニメ界にのみ存在する壁の存在を頭に入れると容易に解釈できる。

 青の6号はアニメであってアニメではないのだ。

 CGクエイターには(もしかしたら他の壁はあるかもしれないが)、アニメの壁は存在しない。青の6号は初のフルデジタルアニメと言われることがあるが、それを手がけたCGクエイターは既に実績豊富で完成された表現力を持っているベテランなのだ。最初から完成形の映像を提示してくる。彼らは基本的に全てをCGで描きうるが、それはアニメ界が使用する【特殊効果としてのCG】とは最初からレベルが違うのだ。アニメ界のCGは手描きが不向きな分野にしかCGを使わないから蓄積の差は最初から大きい。

他の問題 §

 実は21世紀に入って良く出来ているのにそれっきりというアニメは珍しくも無い。

  • WXIII (2001)
  • 出撃!マシンロボレスキュー (2003)
  • 電光超特急ヒカリアン (2003)
  • 爆闘宣言ダイガンダー (2002)

 実は、志を高く持つことが、逆にアニメの首を締めるという逆説が横行するようになった時代が来たとも言える。1983年前後の状況の再来だ。

アニメクライシス21C論 §

 そこから導き出されるのは、アニメクライシス1983の再来としてのアニメクライシス21C論だ。21Cとは21世紀(21st century)の略だ。(テクノポリス21Cの21Cの表記に合わせてみた)。

 このアニメクライシス21Cを最も象徴的に示すのがアニメクライシス1983への処方箋であったはずのジブリの終焉だ。そう。ここで1つの屈折が発生する。ジブリはアニメクライシス1983への処方箋の1つだったはずだ。しかし、アニメクライシス21Cにおいて、ジブリは敗者の方に分類されてしまうのだ。

【細田守クライシス・ジブリの出現と終焉の謎に続く】

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【番外】コミックに見る超えられない壁の問題
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プロローグ・ヤマト完結編とゴーバリアン
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 2013年の宇宙戦艦ヤマト2199は、ヒット作と言って良いだろう。

 しかし、この作品にはいろいろと謎がある。

 最大の謎は、【それほどアニメ本編で活躍していない女性キャラのグッズばかりが発売され、アニメ本編で活躍している男性キャラは捨て置かれることが多い】ということだ。もちろん、男性ファンは男性キャラのグッズなど買うまい……という予測は外れた。もともと宇宙戦艦ヤマトというタイトルは膨大な女性ファン層を持っているからだ。

 他にもある。

 たとえば、ヤマト2199第13話の絵コンテを描いた樋口真嗣監督は、実写のローレライというそれは見事な潜水艦映画を監督している人だが、この第13話に登場する潜水艦(潜宙艦と呼ばれる)は、それと比較してかなり見劣りする。なぜだろうか。

 実は以下の認識をも持ち込むことで、簡単に解釈できることに気づいた。

  • 志を上げることは、アニメ作品の質の向上を意味する
  • しかしながら、志を上げすぎると周囲が付いてこられなくなり、むしろ作品は荒れる
  • 受容可能な水準はジャンルごとに変化する

 つまり、ヤマト2199は志を上げすぎていて、あちこちに【アニメ界】のスタッフが追従できない【きしみ】を生じていると考えられるのだ。

 要するにこういうことだ。

  • 男性向け女性向けというセグメント分けが明確化したアニメ業界では、一度【男性向け】にカテゴライズされてしまった【宇宙戦艦ヤマト2199】という商品を女性向けに展開することは前提の外側にある。どれほど多数派の女性ファンから批判されても実行できない。実行する方法論そのものを持っていない
  • アニメの壁は実写には存在しない。だから実写の文化を持ち込むとアニメ側は拒否反応が発生してしまう。その結果、当たり前の描写が当たり前に描けない問題が発生する

 つまりそれはどういうことか?

 宇宙戦艦ヤマト2199という作品は、アニメで前進できる限界の壁に突き当たってしまったのだ。

 しかし、限界に突き当たったのは宇宙戦艦ヤマト2199だけだろうか。

 どうもそうではないようだ。

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 20世紀末から21世紀に掛けて、潜水艦アニメが数本制作された。

  • 青の6号 (1998)
  • サブマリン707R (2003)
  • スーパー99 (2003)

 これらを比較するとあることが分かる。

 最初に作られた青の6号だけ完成度が特に高いのだ。

 スーパー99は古すぎる原作に忠実すぎ、さすがに2003年のアニメとしてどうかと思う内容であった。サブマリン707Rは良く出来ているのだが、女の子の描写などが良くなく、ラストの潜水艦戦が見事なのに惜しい部分が残る。

 それと比較して、青の6号は最初から最後まで筋が通っていて、映像も完成されている。

 なぜだろうか。

 実は青の6号だけフルデジタルアニメなのだ。厳密な意味でのアニメではない。

 つまり、青の6号に対抗する企画であったはずなのに、アニメでは青の6号の水準に並ぶところにすら行けない……という状況が見て取れる。

 何故その差があるのだろうか。

 アニメ界にのみ存在する壁の存在を頭に入れると容易に解釈できる。

 青の6号はアニメであってアニメではないのだ。

 CGクエイターには(もしかしたら他の壁はあるかもしれないが)、アニメの壁は存在しない。青の6号は初のフルデジタルアニメと言われることがあるが、それを手がけたCGクエイターは既に実績豊富で完成された表現力を持っているベテランなのだ。最初から完成形の映像を提示してくる。彼らは基本的に全てをCGで描きうるが、それはアニメ界が使用する【特殊効果としてのCG】とは最初からレベルが違うのだ。アニメ界のCGは手描きが不向きな分野にしかCGを使わないから蓄積の差は最初から大きい。

他の問題 §

 実は21世紀に入って良く出来ているのにそれっきりというアニメは珍しくも無い。

  • WXIII (2001)
  • 出撃!マシンロボレスキュー (2003)
  • 電光超特急ヒカリアン (2003)
  • 爆闘宣言ダイガンダー (2002)

 実は、志を高く持つことが、逆にアニメの首を締めるという逆説が横行するようになった時代が来たとも言える。1983年前後の状況の再来だ。

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 そこから導き出されるのは、アニメクライシス1983の再来としてのアニメクライシス21C論だ。21Cとは21世紀(21st century)の略だ。(テクノポリス21Cの21Cの表記に合わせてみた)。

 このアニメクライシス21Cを最も象徴的に示すのがアニメクライシス1983への処方箋であったはずのジブリの終焉だ。そう。ここで1つの屈折が発生する。ジブリはアニメクライシス1983への処方箋の1つだったはずだ。しかし、アニメクライシス21Cにおいて、ジブリは敗者の方に分類されてしまうのだ。

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