バカの壁
紀伊國屋書店

2004年03月28日
川俣晶の縁側過去形 本の虫感想編total 2332 count

バカの壁 養老孟司 新潮新書

Written By: 川俣 晶連絡先

 電車の中で読んでいたら一気に読み終わってしまいました。

 この本の評価は非常に難しいところです。

 功罪相半ばするというか。中庸ということではなく、突出した「功」と、それと不釣り合いなほどの、そりゃあないだろうと言いたくなる「罪」。そのギャップの大きさが、とてもつもない個性を発揮している希有な本という感じがします。

§

 現在、あまりにも多くの人達が見落としている当たり前のことを、次から次へと読者に投げつけるところは痛快ですね。内容の多くは私も思っていたことですが、それを分からない人達にどう伝えて良いか、考えあぐねるほど難しいところがあります。表現がまずいと、ただのバカの烙印が押されかねませんし。いや、表現が良くても、自分は分かっているはずだという人達は読まずに誤解してバカという烙印を押しかねません。そういう難問を、いけしゃあしゃあと正面から突破してしまった感があります。これも年の功?

§

 とはいえ、褒めてばかりもいられません。

 かなり、議論としてはうかつな内容もあちこちに見られます。

 その典型的な一例が、脳をy=axという式で表現してしまうあたりにありますね。出力の強度が係数aによって変化するというのは良いとしても、1次関数になるというのは、ちょっと飛躍した話であるように見えます。(せめて、y=f(x)と書いてくれれば……。それでもまだ突っ込む余地はあるのですが)

 また、話をあまりに単純化しているという印象を持つ箇所も多くあります。

1つの連想 §

 90pのあたりで、昔は軍隊が身体性を規定していたという話を読んで連想したことがあります。

 それは、大学の学生実験でレポートの再提出の繰り返しとなって精神的にボコボコにされた経験です。書いても書いても再提出。おまえなど、相手にされないゴミのような存在だと、身体に叩き込まれたような感じがします。それと、軍隊に入った若者が鬼軍曹にしごかれて自分がゴミだと思い知らされるのは、もしかしたら似たようなことなのだろうかと。

 もし似ているとすると、次に気になるのは、こういう経験は全ての大学生が経験することなのか、あるいは、学部や学科、先生によって経験したりしなかったりするのか、と言うことです。そのあたりのデータを集めたり、あるいは、そのような経験に有無が人間性に影響を与えているのか、といったことを見てみると面白いかも知れないと思いつつ。そんなことをやってる暇は無いですね。

 しかし、もしもああいう出来事で、身体性を認識させることができるなら、日本が軍隊と徴兵制を再び持つよりも良い方法があると言うことになって、ちょっと面白いかも知れません。

Facebook

キーワード【 川俣晶の縁側過去形 本の虫感想編
【感想編】の次のコンテンツ
2004年
03月
28日
濃爆おたく大統領 2 徳光康之 講談社
3days 0 count
total 2818 count
【感想編】の前のコンテンツ
2004年
03月
27日
トニーたけざきのガンダム漫画 トニーたけざき 角川書店
3days 0 count
total 2599 count

このサイト内の関連コンテンツ リスト

2004年
03月
23日
川俣晶の縁側過去形 本の虫入手編
バカの壁 養老孟司 新潮新書
3days 0 count
total 2024 count
2004年
11月
20日
トーノZEROアニメ感想ハウルの動く城
宮崎駿監督でなければきっと公開できないような議論を呼びそうな傑作? 怪作?
3days 0 count
total 3208 count
2004年
12月
11日
マンガを解剖する 布施英利 筑摩書房
3days 0 count
total 2060 count
2006年
03月
29日
川俣晶の縁側過去形 本の虫入手編
バカの壁, 超バカの壁 養老孟司 新潮社
3days 0 count
total 1717 count
2006年
04月
01日
バカの壁, 超バカの壁 養老孟司 新潮社
3days 0 count
total 1892 count
2006年
08月
13日
トーノZEROアニメ感想ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU
まさか、更にこのような展開があろうとは! その驚きを「バカの壁」を引き合いに出して語ってしまうぞ!
3days 0 count
total 2787 count


バカの壁
紀伊國屋書店

このコンテンツを書いた川俣 晶へメッセージを送る

[メッセージ送信フォームを利用する]

メッセージ送信フォームを利用することで、川俣 晶に対してメッセージを送ることができます。

この機能は、100%確実に川俣 晶へメッセージを伝達するものではなく、また、確実に川俣 晶よりの返事を得られるものではないことにご注意ください。

このコンテンツへトラックバックするためのURL

http://mag.autumn.org/tb.aspx/20040328171647
サイトの表紙【感想編】の表紙【感想編】のコンテンツ全リスト 【感想編】の入手全リスト 【感想編】のRSS1.0形式の情報このサイトの全キーワードリスト 印刷用ページ

管理者: 川俣 晶連絡先

Powered by MagSite2 Version 0.34 (Alpha-Test) Copyright (c) 2004-2018 Pie Dey.Co.,Ltd.