よく読むとこれなんか、かなり凄いぞ。
- 加藤は1つもないのに山本はある
- 太田は1つもないのに南部はある
- 山崎は1つもないのに徳川太助はある
- 徳川彦左衛門は1つもないのに徳川太助はある
- 揚羽は1つもないのに土門はある
- アルフォンは1つもないのに、ルガール・ド・ザールはいくつもある。シュルツもある
つまり §
「アルフォン、加藤、揚羽と並べるとキザタイプがごっそり抜け落ちる。山崎もそれに近い路線かな」
「うん」
「つまり、著者はそのあたりが好みじゃないと見た」
「でも、徳川太助はいいんだ」
「可愛いからね」
「坂本は?」
「直接じゃないけどパンツ1枚でしっかり登場さ。一方で、揚羽は、南部の一発ぶちこんでみましょうか、で撃ち込まれる側だ」
「なんか扱いに落差があるね」
「このへんは、ちょっとヤオイっぽいムードだな。男が男にぶち込まれちゃね」
「ははは」
「でもさ。シュルツが出てくるのはいいよ。我らの前に勇士なし、我らの後に勇士無しだ」
「うううう」
「ガンツみたいに泣くんじゃない」
「ここは泣かせてくだちい」
「それは何か違うGANTZが混じった気が」
「ロボコン0点」
「それも違うガンツ先生」
「でも、あれはマジで名台詞っすよ」
「よく、いい台詞を拾ってるね。しかも映画ではカットさている部分だ」
「たとえ肌色のシュルツでも」
「中にはこれが?という言葉もあるが、マニアじゃないと拾えないいい台詞も多いからこの本は許せるな、というか良い本だな」
「これはいいものだ?」
「いや。美しい本だ。止めろ!」
「さりげにズォーダー入ったぞ」
「逆に言えば、これが?というのは著者の愛が半歩行きすぎただけと思えば、思い入れの深さも分かるね。いやただの空想だけど」
「愛か」
「そりゃ、ヤマトは愛だろ」
「でも、パパとママの青春の思い出は無いんだろう?」
「うんそこだ」
「どこどこ?」
「それはいいから。実はパパとママの青春の思い出は無いが、それを見ていた佐渡先生の九十九里をもって半ばとせよ、は入ってるんだ。おいらはそれでいいと思う。酒飲んで若い男女のいちゃいちゃを隠れて見ていた佐渡の台詞だぜ。いかにいいことを言っていてもさ」
「要するに酔っ払い……」
「付いてる画面写真も酒を持って顔が赤い佐渡だしね」
「佐渡は格言と言えるような台詞が少ないから、きちんとこれを拾って佐渡を登場させたのは偉い、とも言える」
「ボケならいくらでもあるのだけどね」
ヤマトの深層 §
「しかし、なぜ今になってこんな本が」
「復活編でやる気が出た書き手がいて、実写版を商機と見た出版社があれば企画が通る、ということなんだろう。タイミング的に復活編と実写版の中間、しかも実写版を控えた秋とはそういうタイミングだ。しかし、書いている時期から考えて復活編DVD/BD発売前という可能性が高く、そこから拾うのは難しい」
「なるほど」
「あるいは別の解釈もある」
「どんな解釈?」
「もともと暖められていた企画で、金言の選定もとっくに終わっていたが、出版社の側が渋っていた。しかし、復活編で気が変わり、実写版のタイミングに合わせて出版にゴーサインが出たのかもしれない」
「なるほど」
「むしろそっちが本命かもしれない。この著者でゴルイの台詞を外す理由が無いような気もするしね。もっとも、キャラは感性の産物だから復活編のキャラが嫌いなだけ、という可能性も否定できない」
「復活編は扱いが難しいね」
「大クロニクルのように、関わっていない松本先生が監修だから入っていないというのが、いちばん分かりやすい。しかし、あとは理由も不明確だ。そもそも、復活編をあてこんだ商品で復活編のネタを取り込むのは難しいだろうが、単なる趣味で排斥された可能性もある」
「あんなの僕のヤマトじゃないって? それは否定されるべき偏見?」
「それは完全には否定できない。映画はしょせん娯楽であって感性のものだからだ。好き嫌いは誰にでもある」
「じゃあ、あれが嫌いでもいいわけ?」
「いいかい。おいらが批判しているのは、客観的にダメな映画であると決めつける行為だ。だからさ。映画は個人の感性でその個人から評価されるわけだ。それゆえに、私は良かった、私は面白くなかった、という感想は一定の価値を持ち、肯定される」
「でも、誰が見てもダメな映画だという主張は肯定しないわけだね」
「うん。どんな映画でも、つまらなくしようと思って作る映画などない。その意図がすべることはあるけどね。でも、たいていは誰かが面白いと思う映画なんだよ。本人が面白くなかったからといって、映画の存在意義は全否定できない」
「だから、客観的な映画否定は、主張が正しいかというレベルではなく、否定する行為そのものが間違っているということだね?」
「うん。そこが個人の感想との大きな違いだ」
オマケ §
「海底軍艦は個人的に好きな映画だったけど、世間の評価もいい。これはおおむね評価が一致している」
「うん」
「でも、宇宙からのメッセージになるとかなり乖離してくる。おいらは大好きだが、けっこう世間の評価は低い」
「好きというのは珍しいかもね」
「緯度ゼロ大作戦になると、もう知名度すらない」
「ははは」
「劇場版の1000年女王は、知名度はあるけどみんな馬鹿にして見に行かなかったから、ほとんど話も噛み合わないけど、おいらは好きだった」
「まあ、零戦で宇宙からの侵略者に立ち向かっちゃね」
「それこそが見所なんだけどねえ。ヴィルコラク隊とも戦える名機だぞ」」
「結局、趣向を読み取ってそれに合わせることが不得手だと、楽しい映画も楽しめないってことだね」
「結局ヤマトも同じことで、頭でっかちの子供達が一生懸命大声でガ○ダムを褒め称えてヤマトを貶めようとしても、ヤマトを支持するファン層は消えてしまわない」
「そうだね。このあたりのヤマト関連本の動向を見ていると、しっかり層として残っているようだね」
「だからさ。ヤマトファンはガ○ダム汚染された地上を避けて地下都市に潜伏しているだけで、まだ滅んではいなかったわけだよ」
「でも、絶滅の危機に瀕しているのではないか?」
「うん、1年以内に絶滅しそうな勢いはあったが、復活編から1年で実写版が来て間に合ったようだ」