「というわけで前回までのあらすじだ」
西暦2199年、地球は謎の星ガミラスから遊星爆弾による攻撃を受けた
情け容赦の無い攻撃は人類絶滅か奴隷かを迫った
人類に明日への望みは無いのだろうか
「違うだろ。それ前回までのあらすじだけど、違う前回だろ」
「すまん」
古代と島は偵察に上陸した敵の戦車を爆破するが、そこで赤錆びた鉄の塊の戦艦大和の残骸に出会うのだった
「それも違う。ってか、そんな前回は無い」
「分かった分かった。じゃあ行くぞ」
NHK-FMで放送されたラジオドラマ、あべ静江の宇宙戦艦ヤマトのテーマミュージックの正体が、有り難くも詳しいマニアの方からヴァンゲリスのアルバム『反射率0.39(Albedo 0.39)』に収録された「アルファ」という曲だと知り、思わず金も無いのにオーダーしてしまったのである
答え合わせ §
「それで、本当にこの曲があべ静江の宇宙戦艦ヤマトのテーマミュージックと思って良かったの?」
「ああ、ばっちりだ。テープに残っていた残骸は、Amazonで試聴できる冒頭部では無く最後の方であったが、フルコーラスで聞くとこれでいいと分かった」
「じゃあ、以下の情報は完全に確定と思っていいわけだね?」
- NHK-FMで放送されたラジオドラマ、あべ静江の宇宙戦艦ヤマトのテーマミュージックは、ヴァンゲリスの『アルファ』(『反射率0.39』収録)である
「うむ。まあ、単なるおいらの納得であって、ネットの情報なんて当てにならないと思うべきだがな」
「気になる奴は自分で確認を取れってことだね」
「そうだ」
「でも、ヴァンゲリスはともかく、あべ静江の宇宙戦艦ヤマトなんて今から聞けるのかい?」
「某サイトに上がっているという話だ。もっとも、某サイトのIDは持って無いし、取得する気も全く無いから関係無いけどな」
「ははは。あくまで自分で録音したテープの断片の解釈を求めているというわけだね」
「それもある。過去の自分を知ることは、現在の自分を形成した径路を知ることであり、未来への展望を持つことだからだ」
「そうか」
アルファの感想 §
「ムーンベースアルファは迷い星~♪」
「は?」
「という歌では無いので念のため」
「紛らわしいよ」
「静かに入って大きく膨らんで終わるいい曲だと思うぞ」
「そうか」
「同じメロディーが繰り返されて膨らんでいくのはボレロ的な構成とも言える」
「ボレロ的か」
「だからヤマトに合うんだよ。第1作のBGMには『ヤマトのボレロ』という曲があり、完結編には『悲壮のボレロ』がある」
「なるほど」
「あ、ちなみに『悲壮のボレロ』はおいらのイチオシ曲だからね」
「なんという個人的解釈」
「でも、アルファはいい曲だよ。いろいろな場所で使われているのも良く分かる」
反射率0.39の感想 §
「反射率0.39そのものは、意外と耳慣れない曲も多く含んでいた」
「その点は予想外?」
「アルファともう1つパルスターはラジオで使われているのを聞いているのだから、他にも知っている曲がありそうな気がしたが、そうでもなかった。聞き流して印象に残ってないだけという可能性はあるけどな」
「そうか。じゃあ、パルスターとアルファ以外は外れ?」
「とんでもない。むしろ、おいら好みのいい曲ばかりだぞ」
「ええっ?」
「満足度は高い」
「そうなの?」
「まるで聞き手に挑戦するかのような凝ったアクロバティックなリズム。こういうのが好きなんだよ」
「ははは」
「あとさ。WikiPediaによるとメロディにも特徴がある」
ヴァンゲリスのメロディはシンプルで美しく[18]、強く印象に残るものが多い[19]。ギリシャおよび地中海東部地域に古くから伝わる5音階旋法にもとづくメロディを用いる事があり、また、5度の飛躍(ドからソへ:『炎のランナー』の序奏部分など)を好んで使うことが多いのも特徴である。
「実は今まで話題にしなかったけど、こういう民俗音楽的な音階もおいらのツボに入ってるんだ」
「ええっ!? そんなのまで趣味なの?」
「あとさこう言う記述も納得だよ」
ジャズ奏者としてのヴァンゲリス
シンセサイザーと出会うまでのヴァンゲリスは主にピアノとオルガン、ヴァイブ、パーカッションなどを演奏していた。
「どうして納得なの?」
「実際に聞いてジャズテイストが入ってると思った」
「なるほど」
「しかも、そこも趣味のツボだ」
「ははは」
「ちなみに、実は"ヴァンゲリス"でGoogle検索すると2つめの候補がhttp://www.youtube.com/watch?v=yLrGXts-Yr0であったのだ。そういう意味では確認にCDをわざわざ買う必要なんて無かったとも言える。でも後悔はしてないぞ」
「アルバムそのものが良かったから、ということだね」
「それもあるが、実体として時代を切り取った物証そのものが手に入ったわけだしね」
「そうか」
「それにアルバムは1枚で構成に意味がある。断片で聞いてもダメだよ」
オマケ・パルスターの感想 §
「しかし、いちばん驚いたのはパルスターだ」
「どうして?」
「ラジオSFコーナーで聴いたことはあるが、だいたい流れるのは最初だけで最後までは流れない」
「うん」
「確か、時間の都合なんだろうけど、エンディングに流れる時間が長くて意外な音が出るところまで流れて驚いたことがある」
「そうか。長く聞くと表情が違うんだね」
「いやいや。それでもまだ足りなかったのかも知れない。フルコーラスで聞くと、もっともっと意外な表情を見せてくれた」
「そうか。変化があると思った変化よりも、ずっと大きな変化があったわけだね」
「まあうろ覚えの個人の主観に過ぎないけどな」
オマケ・曲目の問題 §
「CDをWindows Media Playerで認識させたらCD名と曲のタイトルをネットから取ってきた」
「うん」
「でも間違ってた」
「えっ?」
「認識結果は以下の通りだ」
- 01 Pulstar
- 02 Freefall
- 03 Mare Tranquillitatis
- 04 Main Sequence
- 05 Sword of Orion
- 06 Alpha
- 07 Nucleogenesis, Pt. 1
- 08 Nucleogenesis, Pt. 2
「間違ってるの?」
「7~8曲目の解釈が違う。実際は以下の通りだ」
- 07 Nucleogenesis, Pt. 1 & Nucleogenesis, Pt. 2
- 08 Albedo 0.39
「そうか、Pt. 1とPt. 2の解釈が分かりにくい構成なんだね」
「入力した人がうっかり間違えたってことだろう。まあネットの情報は100%信じるなってことだな」
「なるほど」
「しかも、Albedo 0.39はアルバム名と同じだからアルバムの名前がそこに書いてあるだけと思うと勘違いする」
「そうか」
「でももう1つ追加する話がある」
「なんだい?」
「おいらは中古の古いプラケース仕様の日本国内盤CD(BVCP-5025)を買ったのだが、"2004年1月発売の紙ジャケット仕様の日本国内盤CD(BVCM-37679)"だとトラックが9つあるらしい」
WikiPediaより
- 7.核の創生 パート1 - Nucleogenesis Part 1 (5:56)
- 8.核の創生 パート2 - Nucleogenesis Part 2 (6:12)
- 9.反射率0.39 - Albedo 0.39 (4:23)
「わはは。更に紛らわしいね」
「うん。紛らわしいね」
「しいねちゃんもびっくり」
「交響組曲の戦闘の音楽は1曲なのか3曲なのか、みたいな混迷がここにあるぞ」
感想 §
「しかし、すんごい楽しいぞ」
「どうして? 音楽がツボに入ったから?」
「それもあるが、結局、ヤマトの新作CDを手に入れたに等しいからだ」
「わははは」
「あべ静江が、次回宇宙戦艦ヤマト……と言っている背景に流れていた曲だからな。まさに奇跡」
「古いCDなのにね」
「おいらの個人的な主観世界では、新鮮な出会いだからいいのだ」
「かなり都合のいい解釈だね」
「実際、1970年代の資料に新鮮な出会いがあるケースだって存在する。何も意外では無いよ」
「そうか」
「あ、話題がつながった」
「えっ?」
「明日公開予定の文章は、1970年代の本である『さらば宇宙戦艦ヤマト』のロードショー責任編集のムックでの発見についてだ」
「何々?」
「詳しくは次回を待て」