27巻とセットのOADと「崖の上のネギま?」には語ることが多くありますが、手が回っていません。特に「崖の上のネギま?」は深読みしていくとかなり広範な論を展開できる余地があります。
しかし、ここでは小ネタを1つ。
意外と知性派のトサカさん §
27巻245時間目、亜子がトサカの部屋に入っていったとき、トサカはペーパーバッグらしい本を読んでいます。意外と知性派であることに驚き。
ある意味で、このネギま!は本を読むことが当たり前である人達によって進行する物語と言え、読書習慣がない読者には入り込めない領域がそこかしこに隠されている感があります。ちなみに、ここでいう読書習慣に、おそらくライノベは入りません。ケータイ小説もたぶん入りません。
さてここで問題です。
トサカさんが読んでいる本の表紙は割と読めます。
最初の2行は"Benjamin Charles"。3行目は指で隠れて良く分かりませんが、"Baudelaire"という可能性が高そうです。その下の小さな文字もかろうじて読めます。
総合すると以下の通りです。
Benjamin
Charles
Baudelaire
suhrkamp taschenbuch
wissenschaft
さて。更に読解を試みます。Benjamin, Charles, Baudelaire (ボードレール)はそれぞれ人名と思われます。
さて、ペーパーバッグはいかにもアメリカっぽい第1印象ですが、シャルル・ボードレールはフランスの詩人であり、印象が分かれます。しかし、調べてみるとsuhrkamp taschenbuch wissenschaftはドイツ語のようです。
suhrkampは不明(使ったフリー独和辞典に載っていなかった)、taschenbuch=ペーパーバック、wissenschaft=学問,科学ということで、どうも"suhrkamp taschenbuch wissenschaft"は「新潮文庫」に相当する出版物のシリーズ名のようにも思えます。
そこを起点に更に調べて突き止めました。
ドイツのペーパーバックですが、日本のAmazonにも掲載されています。表紙写真もあり、ずばりトサカさんの読んでいた本とそっくりです。(ページ左側の商品情報参照)
そして、"Benjamin Charles Baudelaire"は1つの人名ではありません。著者名は"Walter Benjamin"つまり最初の1単語は著者名です。そして、残りの2つの単語が「書籍名」にあたります。
まとめると以下のようになります。
ヴァルター・ベンヤミンさんはドイツの文芸評論家なので、ドイツ語の本であることはストレートに解釈できます。
次の問題は、このペーパーバックの日本語版が存在するかです。
おそらく岩波文庫の「ボードレール 他五篇」の「ボードレール」の部分がそれにあたるようです。(ページ左側の商品情報参照)
ドイツ語のペーパーバックは納期が掛かりそうですがオーダー可能。岩波文庫版はAmazonにも在庫があって普通にオーダーできるようです。というわけで、トサカファンなら即座に両方とも買いだ! こいつを読みながら部屋に入ってきた奴隷メイドをギロッと睨んでトサカ気分を満喫だ!
え? トサカファンなどいない? (汗
感想 §
唐突に、なかなか面白い調べ物ができてしまいました。
普段は注意を向けない世界ですが、フランスからドイツに飛んで更に英語版のAmazonやWikiPediaで調べものをして、最後は日本のAmazonにズバリそのものの商品情報を確認。更に翻訳版も割り出しました。けっこう楽しい冒険でした。
ドイツ語のサイトを調べまくるなど、本当に普段ならあり得ない展開です。