2007年01月11日
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ビル・ゲイツが悪の帝王と見なされるメカニズムについての考察

Written By: 川俣 晶連絡先

 これは単なるアイデアのメモなので、以下の内容は正しくないと思って読むのが知的で適切な態度でしょう。

前提1 あたかも事実であるかのように流布されたフィクション §

 1996年頃から、パソコン等の世界では、フィクションがあたかも事実であるかのように流布され、信じられたという社会現象があるのではないかと考えています。

 たとえば、全ての店舗は無くなり、全ての買い物はパソコンとインターネットで行われる……というようなあり得ない夢想が、あたかも未来の事実であるかのように受け入れられたような状況を意味します。

 本論ではないので、詳細は略します。

前提2 ビル・ゲイツは悪の帝王である §

 ビル・ゲイツは悪の帝王であり、マイクロソフトは悪の帝国である……というような主張が、インターネット上の一部において、あたかも常識であるかのように語られる現象があります。

ここで語ること §

 前提1の状況から、前提2の現象が発生しうるというアイデアについて書きます。

ビル・ゲイツについてのフィクション §

 ビル・ゲイツとは、本質的な意味において優秀な技術者ではなく、優秀な営業マンであり、優秀な経営者です。

 しかしながら、いかにもオタク的な風貌から、「パソコンが得意な天才少年」という印象がつきまといます。

 これに、「驚くほど優秀な子供がコンピュータを使いこなして、凄いことをやってのける」という「神話」と合体することにより、「ビル・ゲイツ=優秀なパソコン少年」というフィクションが出来上がります。

 このようなフィクションは、マスコミ等を通じてあたかも事実であるかのように流布されていた(いる)と言えます。

 また、事実として、優秀なパソコン少年を発掘することを「第2のビル・ゲイツ探し」と称することも珍しくないと言えます。公的な組織からこのような表現が発せられることもあります。

 従って、このようなフィクションは、マスコミだけでなく、公的なお墨付きを得た事実として流布していると言えます。

少年Xから見た世界 §

 ここで、世の中に多く存在するパソコンが得意な少年の典型的な一人の視点から何が見えるかを考えてみます。便宜上、この少年を少年Xと称します。

 パソコンの知識や技能は、他の多くの作業と同様、使用時間によって向上します。(特定業務で使うだけの作業の反復等は除く)

 たいていの場合、パソコンを長時間使うことは苦痛であり、普通の人のパソコン技能はそれによって制限されます。

 しかし、パソコンを使い続けることが苦痛ではないタイプの人々が(おそらくは一定割合で)存在します。

 このような者達は、桁違いに多くの時間をパソコンに費やすことで、並外れた知識と経験を持つことになります。それは、年齢差を容易に超えます。大人よりも詳しい子供は、容易に出現します。

 少年Xとは、このような子供の典型的な一人と見ることができます。

 少年Xの周囲には、おそらく同程度に詳しい少年はあまりいないでしょう。また、少年Xと一般人の中間レベルの少年もあまり多くないでしょう。

 それゆえに、少年Xは隔絶した存在と見なされ、周囲から「天才少年」と呼ばれるかもしれません。

 そして、少年X自身も、周囲の状況を見回す限り、自分が「天才」であることを事実として受け入れるでしょう。子供の行動半径内に、彼の天狗の鼻をへし折るような人々が存在していない可能性は十分に高いと言えます。

 さて、ここで少年Xは世の中には自分の同類の「天才」が存在することに気付かされます。

 その中で、最も有名な人物がビル・ゲイツとなります。

 少年Xは、周囲から、将来ビル・ゲイツのような人になれると言われるかもしれません。

 しかし、少年Xはビル・ゲイツにはなれません。少年Xがいくら自分を天才だと信じ、周囲が彼を天才と認めたとしても、大メーカーの重役が競ってやってきて少年Xのプログラムを買いたいと言うことはありません。

 ここで、少年Xは考えます。自分とビル・ゲイツの差は何かと。

 しかし、ビル・ゲイツが天才パソコン少年だというフィクションを事実として信じている少年Xは、自分とビル・ゲイツの差を見いだせません。

 とすれば、自分は世間から黙殺され、ビル・ゲイツばかりが持てはやされる背景には、何かの不正が存在すると考えるのが妥当となります。つまり、ビル・ゲイツが何か悪いことをしているからだ……と考えることが、最も合理的な結論となります。

 ここに、ビル・ゲイツ=悪の帝王という図式が成立します。

少年Xの数は多い §

 インターネットというコミュニケーション手段を得た少年Xは、多数の自分の同類「別の少年X達」と出会います。

 彼らは、世間においては少数派ですが、絶対人数はけして少なくはありません。

 また、インターネットという限定された場で、積極的に発言する存在として見た場合には無視できない規模を持つ多数派を構成します。

 彼らは、同じような構造的な要因により、ビル・ゲイツ=悪の帝王という図式を共有しています。そして、相互にそのような認識を交換し合うことによって、それが自分だけの奇矯な考えではなく、「他の誰もが思っている事実」であると認識するようになります。

 これにより、そのような考えに至った者達は、ビル・ゲイツは悪の帝王だということが「当たり前の常識である」という前提で発言するようになります。

結論 §

 もし、以上のような経緯があるとすれば、前提1の状況から、前提2の現象が発生したと考えることができます。

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