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2009年03月06日
川俣晶の縁側歴史と文化下高井戸周辺史雑記total 4547 count

土木建築工事画報に見る玉川上水新水路・新々水路の経緯と写真

Written By: 川俣 晶連絡先

 きむらたかし@三田用水さんよりご教示頂いたのですが、土木学会図書館|土木建築工事画報に「1925(大正14年)年2月~1940年(昭和15年)9月まで発行された「土木建築工事画報」全巻」がPDFファイルとしてあり、その中に以下の文書があります。

 この文書は、昭和7年4月号掲載であり、玉川上水新々水路建設中に記述されたものです。話題の主は、地震に強い上水として地下に鋼管を埋める手法を採用したこと、そのポイントは「鋼管接手」であることを述べています。

 しかし、本題の前後に書かれた話題も有益です。特に、地下に埋める前の鋼管の写真は、なかなか見られないものだと思います。自動車や人間が鋼管の中にいる写真は、鋼管のサイズが直感的に良く分かると共に、車やファッションの風俗から時代性も読み取れます。

 以下、いくつかのトピックを抽出してみます。

  • 玉川上水新水路は「混凝土(コンクリート)張開渠」である
  • 玉川上水新水路の築堤は最も高いところで30余尺 (1尺約1/3メートルとすれば約10メートル)
  • 玉川上水新水路は明治30年に通水を始め25年間は故障もなかった
  • 大正10年12月に「余り世人の記憶にも残っていない程度の地震」(関東大震災ではない)で、最も高い築堤箇所が崩壊し、通水は止まり、盛土は流逸し、付近に惨害を及ぼした
  • この事件により、この水路に依存していた東京市内は断水した
  • このとき、遠隔の諸都市より水船により上水の供給を得た
  • とりあえず復旧を急いだが、それに加えて旧水路から淀橋浄水場に揚水する施設を付加した
  • 大正12年9月1日の関東大震災に、玉川上水新水路は2カ所の大決壊と240カ所の小亀裂が生じ、通水不能となった。緊急修理が行われたが、いつまた決壊するか分からなかった
  • 新水路は「東京市水道の癌」とまで呼ばれた
  • 東京府の道路改修事業を機として国道第5号(甲州街道)の路下に新水路に変る大鋼管を埋設することになった
  • 昭和6年7月25日市会において議決。同年10月以降(少なくともこれが発行されたであろう昭和7年4月頃までは)工事中

気になるポイント §

 関東大震災はターニングポイントではあっても、最初の崩壊ではないし、直接的に新々水路建設の契機でもないことは知っていました。しかし、最初の崩壊が「余り世人の記憶にも残っていない程度の地震」というのは少し意外で、印象を改めました。

その他のトピック §

 第1図の現在和泉給水所がある場所に「沈砂池」と書かれています。この場所に昔から池のようなものがあったらしいことは気付いていましたが、その方面に突っ込んだ調査を何もしていませんでした。具体的な用途を書いた資料を見たのは初めてかも。

 もう1つ、写真の「3. 現場付近に集合せる内径2,100粍鋼管」の写真がどこか気になりますね。現場付近ということは、和泉~新宿間の甲州街道付近のどこかです。しかし、ヒントが少なすぎるので、確定は難しいかも。ちなみに、影の向きから見て、おそらく写真左手が(極めて大ざっぱに)南です。

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