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2006年09月14日
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オルランドの実験宇宙戦艦Xシリーズ

Written By: 遠野秋彦連絡先

 地球(第1地球)の西暦1980年代に襲来した宇宙からの侵略者は、まさに当時の地球にとって唯一の異星人、侵略者、外敵という理由から、公式書類に記載する正式名とは別に、通称として通用する固有名詞を持たなかった。

 侵略者としての彼らはジ・インベーダー(略称ベーダー)と呼ばれ、生物、あるいは異星人としての彼らはジ・エイリアンと呼ばれた。

 さて、ベーダーの襲来は予測されたものではない。それにも関わらず、なぜオルランドが宇宙艦隊という子供の空想のごとき存在(当時としては)の建造に力を入れねばならなかったのか、その理由について知るには、東西冷戦という時代背景について考える必要がある。東西冷戦とは世界が米ソ2大大国に別れて覇権を競うというシステムのようにも思えるが、実際には世界を2大勢力で分割して分け合うという絶対支配のシステムなのである。

 必然的に、2大勢力の作り出す世界秩序に組み込まれることを拒否する勢力は、米ソが共同で排除すべき「異分子」として認識される。

 もちろん、永世中立国のスイスのような国家は、「異分子」にはあたらない。どちらに勢力にも味方しないというだけの話であって、世界秩序の中で1つの役割を果たしているからだ。

 しかし、歴史的な経緯から、オルランドはまさに「異分子」そのものであった。オルランドは、世界で生きる場所を失った人間が逃げ込む場であり、世界秩序の外側に存在していたのだ。

 ゆえに、オルランドは自衛のための軍事力を持ち続ける必要があった。しかも、米ソ超大国にも負けないだけの戦力を、圧倒的に小さな国土が生み出す僅かな富で実現して見せねばならなかったのだ。

 必然的に、オルランドは科学技術の圧倒的優越というアドバンテージを活用するしかなかった。

 オルランドによる宇宙艦隊の建造とは、そのような文脈で認識されるべきものだった。宇宙の軍事利用が活発化する中、軍事衛星による監視や、まして宇宙からのミサイル攻撃などを許すことはできなかったのだ。必然的に、宇宙での他国の軍事活動を実力を持って排除するための手段、つまり宇宙艦隊が必要とされたわけである。

 だが、それはオルランドが宇宙を目指す理由の全てではなかった。オルランドは、もしかしたら地球上に住み続けることができなくなるかもしれない可能性について、真剣に受け止めていた。米ソの軍事技術が著しく向上した時、オルランドは壊滅させられるかもしれない。あるいは、米ソが最終核戦争を始めた時、たとえオルランドに落下するミサイルを全て撃墜できたとしても、核の冬で地球は人が住めない天体になるかもしれない。

 それゆえに、オルランドは別の天体への移住を真剣に検討しており、オルランドの宇宙艦は太陽系内全域のいかなる天体へも航海可能という、当時としては破格の性能を与えられていたのである。

 しかし、実際にオルランドの宇宙艦が太陽系内の惑星達、巨大惑星の衛星達、そして特に大きな小惑星達を調査した結果、いずれも移住するにあたって問題を抱えていることが明らかになった。

 必然的に、オルランドは太陽系外、他の恒星系に目を向けることになった。

 折しも、異端として排斥された物理学者達がオルランドで研究していた超空間物理学が急速に発展しつつあった。擬似的に光速を超えて飛ぶ宇宙船が実現可能であることは早い時期から予言されていたが、それを具体的に作り出すための手順も確立されつつあったのである。

 オルランド宇宙軍は、初期に建造した太陽系内専用艦の追加建造をキャンセルし、超光速航行エンジンを持つ実験艦シリーズの建造に着手した。

 この実験艦シリーズこそが、Xシリーズと呼ばれるX-1からX-3までの宇宙艦なのである。

 誤解されていることが多いが、ベーダーと最初に戦闘を行った宇宙艦はX-1ではない。それはオルランドの太陽系内専用艦であり、その時点でX-1はまだ竣工していなかったのである。より正確に言えば、理論を現実のエンジンとして実現するためのノウハウが不十分であり、完成させることができなかったと言った方が正しいだろう。

 皮肉なことに、ベーダーと遭遇したことによって得られたベーダー艦のデータをフィードバックして、X-1はようやく動き出すことができたのである。

 客観的に見て、X-1竣工前のオルランド宇宙艦隊は、圧倒的な技術的優位に立つベーダーを相手に、驚くほどよく善戦したと言える。だが、それは敵の侵攻を遅らせるという以上の効能は持たず、しかも数回の交戦で事実上戦力は消滅した。

 もはやオルランドを、あるいは地球を守る手段が尽きた……、というまさにその瞬間に飛び立ったのがX-1というわけである。

 まさに英雄的な救世主として、X-1は美化された存在と言える。

 しかし、X-1の実態はさほど素晴らしいものではなかった。

 それまでの宇宙艦が、徹底的に切りつめられた学術調査用宇宙船を武装したものに過ぎないのに対して、X-1は圧倒的に巨大であり、有り余るパワーのおかげでどのような装備であろうと装備することができた。だが、オルランドにはそのような宇宙艦の設計ノウハウなどは存在しなかったのである。

 やむを得ず、海上で使用する昔ながらの軍艦の設計コンセプトを下敷きにして、X-1は建造されたのである。誰もが、それがベストではないと分かっていながら、他に有力な代案を提示できなかったのだ。

 それゆえに、続くX-2は「水上艦との決別」「究極的に理想の宇宙艦を求める」という目標を掲げ、X-1の利用実績データを元に設計が開始された。

 その結果生まれたのは、明らかな行きすぎた技術の集積体だった。

 X-2の主要なコンセプトは、以下の3点だった。

・超々硬化セラミックによるドリル (地中への潜行および敵艦への攻撃用)

・宇宙航行アシスト部とドリルを持つ本体の分離合体 (地中航行を行うために突起物は外さねばならない)

・エネルギー凝縮発散砲のエネルギー源をカートリッジ交換式として連射可能に

 結局、X-2で成功したコンセプトは、最後の1つに限られる。カートリッジ交換式の大形砲は、X-2の2門からX-3では6門に拡大され、積極的に採用されている。

 だが、残りの2点については、継承されることはなかったのである。

 ちなみに、100Kクラス戦艦もバトルシップとベースシティに分離合体するが、これは全く異なるコンセプトによるものである。

 さて、どこからどう見ても冗談としか思えない「ドリル」であるとか「地中への潜行」といったコンセプトが、どこから出てきたのだろうか。

 直接的には、超々硬化セラミックという圧倒的に強力な新素材の使い道として提示されたアイデアである。これだけ硬い素材があれば、地中を進む宇宙戦艦も造り出せます……という比喩的な営業トークが、どこかで現実にすり替わってしまったのだろう。

 もちろん、不可能な行為を可能と誤認して進行したわけではない。それは、実際に可能だったのだ。そして、それは軍事的にも求められた技術であった。

 その時点でのオルランド宇宙軍は圧倒的にベーダーに対して劣勢であった。惑星上の敵基地を正攻法で攻撃するだけの戦力はなかった。そこで、地中を進み、防衛網の内側で地上に出て敵基地を内部から攻撃する……という奇襲的な戦法が求められたのだ。

 この時点で主に想定された敵基地とは、直接的に地球を脅かす冥王星基地であった。

 しかし、X-2が竣工する前に、X-1の戦いにより冥王星基地は陥落した。

 その後、X-2は実際に地中航行を用いた敵基地の攻撃を試みているが、これは1回限りで無効と判定された。

 攻撃に失敗したわけではない。攻撃そのものは大成功であり、敵基地は僅かな時間で壊滅した。

 だが、X-2の地中航行は、絶え間ない微震動と地鳴りを発生させていた。それらがX-2による地中からの攻撃の前兆だと敵が知ってしまえば、もはや奇襲効果はない。

 更に、地中航行時の速度は条件が良い場合でも時速1キロメートル程度であり、硬い地層に当たるとその数分の1の速度にまで落ちた。敵基地の警戒範囲外から地底に潜るとすれば、最低でも一ヶ月以上の地底航行時間を見込まねばならなかった。

 ただでさえ戦力不足のオルランド宇宙軍が、奇襲になる可能性も薄い基地攻撃を行うために、主力艦を一ヶ月も地面の下に潜らせるなど、可能であるはずがなかった。

 いや、たとえ可能であっても、一ヶ月も先の攻略作戦を想定した行動はあり得なかった。X-2が参戦した頃、戦線は流動的であり、戦略上重要と見なされた敵基地が、1週間で無価値な存在と見なされるようになることなど、珍しくもなかった。

 そのような事実を、関係者の誰もが噛み締めた時、X-2に続くX-3のコンセプトは確定したと言って良い。X-3のコンセプトは、「現場で役に立つものだけを重点的にたっぷりと」であった。そして、その中にドリルは含まれていなかったのは言うまでもない。

 そして、X-3は大成功を収め、実験艦でありながら急遽量産されるという事態になる。

 最後にX-2が残した大きな「戦果」を紹介しよう。ベーダーは、微震動と地鳴りに続く地底からのX-2の奇襲攻撃に心理的なショックを受けていた。その後、地震が起こるごとにX-2による奇襲を警戒するという事態も多発していたという。それが、ベーダー達の神経を疲弊させ、ひいてはベーダー敗北の遠因となった可能性もあり得るだろう。

 だが、オルランドの関係者がその事実を知るのは、祖国防衛戦争(オーバーキルウォー)の末期まで待たねばならなかった。

(遠野秋彦・作 ©2006 TOHNO, Akihiko)

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