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2009年02月12日
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オルランドと人工惑星計画

Written By: 遠野秋彦連絡先

 祖国防衛戦争(オーバーキル・ウォー)は壮大な八百長だった、とする説がある。ベーダーとはオルランド人が扮した実在しない異星人であり、オルランドが世界から抹殺されることを回避するために、世界に恩を売るフェイクの戦争をしてみせたというのである。その説の根拠は、圧倒的に技術も戦力も劣勢である地球側が、最終的にベーダーを根絶やしに殲滅するほどの圧倒的勝利を得たことは不自然だという考えにあり、割とよく支持されている。

 しかし、多少なりとも知識のある者達はこの説を支持していない。なぜなら、この勝利に不自然な点は実際には無いからだ。

 実は、壮絶な戦闘が何度も繰り返されたにも関わらず、専門家達は祖国防衛戦争(オーバーキル・ウォー)が実質的に補給戦であったという認識で共通している。

 たとえば冥王星に前線基地を築いたベーターが対地球攻撃に使用できた戦力は実質的に総戦力の5%程度でしかなかったと言われる。残りの95%の艦、人員、エネルギーは全て長大な距離の補給線を維持するために投入されていたのである。

 これに対して、戦争序盤において実質的にホームグラウンドで戦う地球側は、ほとんど補給に割くべき労力は必要とされず、ほぼ全力をもって戦うことができた。

 この差が、技術力と戦力の差を埋めてしまったと言える。

 しかし、ベーダーを徐々に押し戻して前線が地球から離れるに従い、連合防衛軍も補給という重い問題を意識せざるを得なかった。補給に割くべきエネルギーが増加すると、全力で戦えなくなっていくのである。

 更に悪いことに、常に戦線は流動的であり、いちいち補給基地を建設することもできなかった。たとえ建設しても、出来上がる頃には無用となっている可能性が高かったのだ。それに対してベーダーは既にあちこちに基地を持っていて、それらを活用することで地球側に対して有利な戦いを行うことができた。

 このままでは負ける、というのが地球側の一致した見解であった。

 この状況を覆すために構想されたのが、地球と同サイズの人工天体を作るという夢想的な計画だった。戦争に必要とされるあらゆるものを生産し、整備し、兵士達を休ませる万能の拠点であると同時に、どのような場所にでも自由に移動できる。これさえあれば、どれほど地球から前線が離れようと、補給線の長さを意識することなく前線で全力の戦闘を繰り広げることができる。

 しかし、超光速航行を実現して僅か数年という人類に、本当に人工惑星の建造が可能だっただろうか。たとえ巨大な金属の塊を建造できても、自重で潰れてしまうのがオチではなかったのだろうか。あるいは推進エンジンで押した瞬間に潰れてしまうのではないだろうか。

 これらの疑問に対する答はシンプルである。まず、自己増殖するプラント無人船団が様々な星系、惑星を採掘し、単純に規格化されたパーツを製造し、それによってプラント無人船団自身と人工惑星を組み立てていく。プラント無人船団はネズミ算式に増えていくので、人工惑星の建造に必要な資源を地球側勢力範囲で確保できさえすれば、量の問題は解決する。そして、実際にその時点で地球側はそれだけの勢力範囲を支配下に置いていたのである。

 人工惑星が自分の重さで自壊する問題は、重力制御によって解決している。つまり、そのまま放置すれば自己崩壊するという認識そのものは正しいが、人工惑星中核の核融合炉はそれを支えて有り余るエネルギーを半永久的に発生し続けていたのである。

 人工惑星を加速できない問題は、実は重力制御でも解決しない。そもそも、人工惑星のような超重量級の物体を加速できる推進力など、そうそうありはしないんだ。

 実は人工惑星はワープと俗称される超空間転移しか行うことができない。近傍に大きな空間の裂け目を作り出し、そこに自らを落とし込むことしかできないのだ。人工惑星自身が持つ固有のベクトルは自力では変更できない。これを変更するには恒星近傍にワープし、恒星の重力を使って加速減速や方向転換を行う必要がある。

 実際、これはかなり面倒な作業であり、最終的に人工惑星を木星のメタンの海に沈める際も、実は太陽系から一度ラランド21185(地球より8.29光年の距離にある恒星。航法基準ステーションが存在した)とウォルフ359(地球より7.8光年の距離にある恒星)に順次ワープして固有ベクトルを変更してから太陽系に戻るというかなり複雑な航路を辿っている。

 このように、人工惑星とは極めて扱いが面倒な代物であり、到底「宇宙艦」のように扱うことはできなかった。

 しかし、それでも人工惑星の持つ効能は絶大であった。安全なねぐらと補給物資、整備と修理の工場が数千光年先の地球ではなく、僅か数光年先にあると分かることは、前線で戦う兵士達に大きな勇気を与えてくれたのだ。

 その結果、連合防衛軍は常に最短の補給ラインを維持したまま戦闘を継続することができ、結果としてベーダーを圧倒し続けることあできた。皮肉なことであるが、ベーダーの母星の最終防衛ラインは10光年後方の母星より補給を受けて維持されていたが、ここを攻略した際、人工惑星は防衛ラインより僅か1光年の距離にあって補給と支援にあたっていた。つまり、遠距離から来たはずの連合防衛軍の方が遙かに短い補給線で戦えたのである。

 その結果、連合防衛軍は勝利し、ベーダーは敗北した。

 だが、これほど完全な勝利をもたらした人工惑星であるにも関わらず、それが本当に良いものであったか否か、意見は分かれる。なぜなら、地球から遠く離れて独立した行動単位となった人工惑星は、地球から離れたことがない人々から見れば、異星人の侵略者も同然に心が通い合わない存在になっていたからだ。その結果として、先勝後に凱旋した人工惑星は、地球への帰還を拒否されることになる。

 どれほど完全な勝利であろうと、故郷への帰還が拒否される勝利にどれほどの価値があるのだろうか。

(遠野秋彦・作 ©2009 TOHNO, Akihiko)

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